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損害賠償請求事件の一部勝訴の判決が確定しました!

最高裁が,双方の上告・上告受理申立てを棄却

平成28年6月21日,最高裁判所第三小法廷は,キヤノン電子株式会社及びキヤノン電子労働組合の共同の退職強要に対する損害賠償請求事件に関する,眞壁とし子,キヤノン電子株式会社の上告・上告受理申立て及びキヤノン電子労働組合の上告受理申立てのいずれも,棄却・不受理しました。

この結果,控訴審の一部勝訴の判決が確定しました。

したがって,控訴審の一部勝訴の判決,

@ 賃金請求権に基づく,一時金の未払い分の全額の支払い,

A キヤノン健康保険組合とキヤノン電子健康保険組合の合併の際に,キヤノン電子株式会社とキヤノン電子労働組合が,眞壁とし子に対して,共同で行った不法行為に対する損害賠償の支払い,

が確定しました。

特に,眞壁とし子の使用者ではない「キヤノン電子株式会社による不法行為」の存在も確定したことは,本当に画期的なことです。

このような結果が得られましたことは,ひとえに,多くの皆様のご支援の賜物と,心より感謝しています。本当にありがとうございます。

確定した判決内容

上述の@Aについては,次のように主文が変更されています。また,Aに関する「第3 当裁判所の判断」についても次のように変更されています。

なお,控訴人は眞壁とし子,被控訴人はキヤノン電子株式会社とキヤノン電子労働組合です。一部,控訴人会社とありますが,キヤノン電子株式会社のことを指しています。

また,平成18年当時,A氏はキヤノン電子労働組合の執行委員長,I氏はキヤノン電子株式会社の取締役,M氏はキヤノン電子株式会社の人事副部長兼キヤノン電子健康保険組合常務理事です。

「主文」の変更

主          文

1 控訴人の本件控訴及び当審における追加請求に基づき,原判決を次のとおり変更する。

(1)被控訴人らは,控訴人に対し,連帯して,3万3000円及びうち3万円に対する平成21年9月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(2)被控訴人キヤノン電子労働組合は,控訴人に対し,310万4500円及びうち187万1100円に対する平成21年9月10日から,うち61万6700円に対する同年12月11日から,うち61万6700円に対する平成22年6月16日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

「第3 当裁判所の判断」の変更

(6)原判決35頁21行目の「説明したものであり,」〜22行目を「誤った説明をした上,関東信越厚生局に問合せをした控訴人に対し,今後そのようなことをしないようにとの命令を下していることが認められる。弁論の全趣旨によれば,当時,退職勧奨を受けた上に,政府管掌保険や国民健康保険に加入できるかどうかすらも曖昧な状態に置かれた控訴人が,将来に対する不安や焦燥を覚えていたことは明らかであるところ,控訴人に対する退職勧奨等をした当のA氏が,更に控訴人に対し,誤った説明をしたばかりか,命令をもって行政機関に対する問合せまでを禁じたことについては,社会的相当性を欠き,A氏が執行委員長を務める被控訴人組合の不法行為を構成するものというべきである。」と改める。

(9)原判決36頁8行目〜38頁3行目を以下のとおり改める。

「 しかし,当時,キヤノン電子健保以外のキヤノングループの健康保険組合には労働組合が雇用している者が被保険者となっている例がなかったというだけでは,被控訴人会社のI氏やM氏が被控訴人組合に対し,専従書記が新たな健康保険組合に加入することのないように働きかけることについて,合理的な根拠があるとはいえないし,そもそも上記のような例のないことを聞き及んでいたかのようにいうI氏の証言は,客観的な裏付けを欠き,直ちには採用できない。控訴人会社は,当審において,I氏の証言を補完するものとして,平成18年6月,7月の時点でキヤノン労働組合が直接雇用していた従業員が存在せず,キヤノン労働組合が従業員を直接雇用したのは同年8月1日である旨が記載されたキヤノン労働組合の回答書(丙26)を提出したが,上記回答書の記載は一定の時点での事実の有無に関するものであるのに対して,I氏の証言は時点を限定しない過去の事例の有無に関するものであるから,上記回答書の記載によってI氏の証言が補完されたものとみるのは困難というほかない。他に,I氏の考えや言動に関する被控訴人会社の主張事実を認めるに足りる証拠はない。さらに,I氏が,平成18年6月,7月の時点でキヤノン労働組合が直接雇用していた従業員が存在しないと聞き及んだことに基づいて,専従書記はキヤノングループの健康保険組合に加入すべきではないと考えたとすれば,その思考過程には看過し難い飛躍があるというべきである。

 以上によれば,M氏及びA氏を介したI氏の控訴人に対する働きかけは,社会的相当性を欠き,I氏が取締役を務める被控訴人会社の不法行為を構成する(これまでに認定した事実によれば,被控訴人組合の不法行為と客観的な関連性を有し,共同不法行為となる。)ものというべきである。」

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